あふれるほどの愛を君に
信号の色が青になり、点滅して、また赤に変わる。二人立ち止まったまま、同じ状態を三度繰り返した。
じっと僕を見上げる星野から視線を外すことができなかった。だけど、かける言葉も見つからなくて。
とりあえず帰ろう、って言えばいいのか。
それともさっきの告白に対して何か答えたらいいのか。
笑えばいいのか、真面目に返したらいいのか。
どうするべきかわからずに、頭の中を様々なものが駆け巡る。
言葉、出来事……人の顔 ――
例えば、無理に笑顔を作って、その場をやり過ごすための言葉を吐くことも、いまは違うと思う。
でもこんな時、ただ迷うだけで立ち往生してしまう自分を小さく感じる。
やっぱり子供(ガキ)だからなのかって。できないことだらけだって……。
不安な気持ちを取り繕いながら、強い意思を言葉にしてくれた目の前の相手にも何もできない。
ひとときの、ほんの一握りの安堵さえ与えられない……また情けなくなる。
そんなことを巡らせながら、さっきの星野の言葉を思い返した。
『なんでも話せてる?』