あふれるほどの愛を君に

「はじめまして」

「……こんばんは」


いつものようにハキハキと言った星野に対し、サクラさんからは動揺してる様子が見てとれて。

僕は一層、落ち着かなかった。


「もしかして、こちらが彼女さん?」

「あ、うん」


ぼそっと答えると、一気に表情を緩めた星野。


「年上ですよね?」


身を乗りだしながら、サクラさんに言った。

そして「えー、なんか意外」と僕の顔をのぞきこむ。満面の笑みを向けられても、上手く笑い返せない。


「だって阿久津君が年上とか、全然イメージじゃないよ」


やるねー、なんて冷やかしながら肘で僕の脇腹をつつく。それを、サクラさんの目が素早く追ったのがわかった。

サクラさんのほうが星野より10センチは背が高いはずなのに、その差を感じられないほどに見える。

華奢な肩がいつもよりずっと小さく、星野よりずっと遠く――……何故か、そんなふうに感じていた。


「あのーお茶でもしません? 三人で」

「「え」」


唐突な提案に、僕とサクラさんが同時に声をあげた。


「いいでしょ? せっかく偶然会えたんだし、卒業してからの阿久津君のこと聞きたいなぁー」

「でも……」

「いいじゃない! それとも飲み直す?」


そこで顔をあげたサクラさんと視線がぶつかった。

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