my existence sense-神が人を愛す時-
この国でサハラと同様ラグナスを知らぬ者は居ない。
「.........」
一方のラグナスは跪く民達を滞空しながら静かに見下ろす。
上空から見下ろすラグナスの眼下には砂塵の都のほぼ全体が見渡せた。
砂色の街並みはまるで玩具の様。
跪く人は豆粒ほどに小さい。
だがラグナスにはその一人一人の表情がはっきりと見る事が出来た。
ッ。
「......サハラ様からの御告げである。
今日の夕刻謁見の儀を執り行う。祭壇の前に集まるようにとの御達しだ。
女子供は良い。
成人の儀を終えた勇猛な竜人の戦士のみだ」
全ての民の視線が集まった。
そう感じたラグナスは跪く民達に向けて主人であるサハラの御告げの言葉を地上に落とす。
「?!」
その御告げに国全体が騒めくのを感じた。
無理も無い。
そもそも神とそれを崇拝する信者という関係性である両者はそう気安く馴れ合うものではない。
直接サハラと対峙して会話を交わすことが出来るのは謁見の儀の時ぐらい。
そしてその謁見の儀は年に一度サハラが生誕したと云われる日、または何か緊急を要する事態の時しか行われない。
今回は前者には当てはまらなかった。
......。
「御告げは以上だ」
ブワッ。
バサッ......バサッ。
民達の騒めきを他所に告げるべき事を告げたラグナスは天高く飛び上がる。
砂を巻き上げて飛び上がったその姿は砂埃に霞み人の目では見えなくなった。