my existence sense-神が人を愛す時-
一方的な御告げを受けて民の騒めきは止まらない。
何かあったのか?
民に不安が迸るが問い返す相手の姿はもう空高くに消えてしまった。
彼等がこの疑問と不安を晴らすには兎にも角にも御告げに従うしか無い。
「こうしては居られん。
謁見の儀に臨む準備をせねば!」
サハラからの御告げに騒めく胸をどうにか抑えて民達は謁見の儀に向けて動き出す。
其所らで世間話に花を咲かせていた女子供は早々に切り上げて各々家へと引き上げ、男達は夕刻に向けて急いで身支度を整える。
先程とは一変。
砂塵の都全体が忙しなくなった。
「......」
そんな姿を人の目では見えないくらいの空高くから静かに見下ろすラグナス。
取り敢えずこれで自分が皆に伝えるべきことは伝えた。
ッ。
忙しなく動き始める民の姿を確認してラグナスは次の行動へと取り掛かる。
ブワッ。
竜の力強い翼で羽ばたき向かうのはこの国を守る砂嵐の壁。
外側から内側を守るためにサハラが作り出した砂嵐である為内側から見ると思いの外穏やかで風の影響は感じない。
だがそれでもその力は強大で生身の人がこの砂嵐の壁を越えるのは何らかの事情でその力が弱まりでもしない限りは外からでも内からでも不可能だろう。
竜の要素を兼ね備える竜人であれども生身では越えることは出来ない。
ゴォォオッ。
......ッ!
そんな砂嵐の壁に対峙するラグナス。
彼は暫くその逆巻く風の流れを見つめ一気に翼で勢いをつけてその壁に飛び込んだ。
飛び込んだその瞬間、ラグナスの身体に物凄い風の流れが打ち当たる。
大きく強靭な竜の身体とはいえその風に堪らず身体が揺らぐ。