my existence sense-神が人を愛す時-
羽ばたく翼がじわじわ増えてくる湿気で重くなる。
風を切る音も変わる。
遠くに見えていた緑はもう目の前。
もうすぐ砂漠が終わる。
......。ッ。
砂色と緑色の境界線をその翼で飛び越えた。
その瞬間ゾクッと身が震える程明らかに空気の質が変わった。
じっとりと纏わりつく湿気。
ポツンッ、ポツンッ。
そして空からは止め処なく降り注ぐ清らかな水の雫。雨。
鱗を纏う乾き切ったラグナスの身体はその雫に打たれ潤う。
フッ。
「.........」
茂る緑の隙間から降り注ぐ雨を見上げ一つ瞬きをする。
そしてその姿は竜から人へと変わっていく。
鱗に滴っていた雨の雫は彼の肌を濡らし色素が薄い彼の短い髪を濡らす。
ッ。
軽くその雫を振り払い彼は砂漠に背を向けて森の中を歩き出す。
此処はもう彼の仕えるサハラの支配する土地ではない。
そう此処は。
「早くネモフィラ様にお会いせねば」
此処は雨降りやまぬ妖精の森。
サハラと並ぶ五神の一人、ネモフィラが治める国だったーーー。