my existence sense-神が人を愛す時-
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今日も雨が降っていた。
今日も昨日も、その前もずっと。


茂る緑。滴る霧雨のように細かな雨の雫。
仄かに香る土の香り。
道端には小さな名も無き花があちらこちらに咲き乱れる。

潤緑に満たされる森。
雨が降っている割にはまるで陽の差しているように明るかった。
雨の雫は木々の葉っぱに落ちキラキラとした煌めきを添えていた。










フワッ。

そんな森の木々の合間から不意に何かの影が舞い出る。

鳥か?
そうとも思ったが鳥にしては小さい。
それでは虫が?
今度はそう思うがその姿はどうやら虫でも無さそうだ。



小さな身体。
色とりどりの花びらを集め縫い合わせた服に身を纏う小さな小さな人。
身体の大きさはともかくとしてそれ以外の見た目は何だ普通の人と変わらぬ姿だった。

......。
ある一点、キラキラとした鱗粉を纏った蝶々のような美しい羽を背中から生やしていること以外は。








「今日もとてもいい雨ね」


「ネモフィラ様が今日も変わらずこの森に愛と恵みを与えてくださっているのだわ」



囁くような可愛らしい声が飛び交う。

美しい羽を生やした小さなその人、外の世界からは妖精と呼ばれる種。
五神のうちの一人ネモフィラを信仰しその力を分け与えられ人から枝分かれし確立した種族。



彼等が信仰するネモフィラは癒しの緑や美しい花々を愛でるとても穏やかな神。
争いごとを嫌い穏やかな平和を好む。

そんなネモフィラを信仰する忠実な信者である妖精達もまた同じでこの豊かで穏やかな森の中でひっそりと平和に生きていた。






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