The endless world
「今日はもう遅い、みんなここに泊まっていけ。」
初夢のお爺さんの宗次郎(そうじろう)さんが外に出るのは危険だろうとわたし達を泊めてくれることになった。
「ところで初夢は巫女だってことは知ってるのか?」
「いや、知らない。映世見に落ちるなんてことも把握出来ていなかったから知らせてないんだ。」
「おいおい、そりゃあっちに落ちて大変な事になってんじゃないか?」
「一応俺の遠い爺さんがなんとかしてくれる手筈になっているから大丈夫なはずだ。
」
「そう言えばその爺さんって誰なんだ?いままでの話で行くと普通の人ではないんだろう?」
「安倍清明だ。母を天狐(てんこ)にもつ平城京から平安京に名前を馳せた大陰陽師だ。」
「お前の家、その神社だったのか。」
「じゃあ初夢さんは一応安心だね。」
「とりあえず、まずはこっちに出て来ている鬼をどうするか考えたいんだ。丁度皆剣道部だし。」
「純白先輩は大丈夫なの?」
「俺と一緒で戦力外だからサポート役に回ってもらうつもりだ。先輩いいですか?」
「わかった、何をすればいい?」
「まず、正宗、桜良、清香先輩は鬼の消滅係、純白先輩と俺は鬼を呼んで逃がさないように結界を守る係にしようと思う。」
「私にそんなこと出来るのか?」
「結界をはるのは主に俺がするから先輩は囮役と俺の身を守る係をして欲しい。」
「なるほど、鬼を斬る刀はどうするんだ?」
『それなら家にふた振りと小刀が有るぞ。
天草劔(あまくさのつらぬき)、十剣見尚(とつきのみさなお)、玄太刃(くらたちのは)がある。どれも霊刀だから安心だぞ?』
「爺!!」
みんなが声のした中庭を見る。
『よう、明、そっちの様子はどうだ?』
池に映った月から薄らと身体がホログラムのように見えていた。
「皆、俺の爺さんだ。」
『初めまして、皆さん、明が世話になっておる。』
「あ、いえ。「こちらこそお世話になってます。」」
純白先輩と清香先輩が返事をする。