穢れた愛


靄の掛かる
白い朝


数台の車が
砂利を抉る音を刻み
別荘から消えてゆく


ずぶ濡れの栞を
抱いたまま
座り込む青柳には
感情すらなく


虚ろな眼に
湖の水面が
映り込む


蒼褪めた顔で
栞の死体から
眼を叛ける柏崎


微かに震える拳を
隠す仕種


冷静に柏崎を
観察していた横瀬は
短い舌撃ちを鳴らし


「柏崎
 お前が栞を湖から
 引き上げた事にしろ

 手柄を やる」


通報した警察が
現れるのを待つ
僅かな時間


擬装する現場状況


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