穢れた愛


横瀬は青柳の肩に
手を掛け
強い口調で
命令を下す


「栞を離せ」


硬直した腕で
栞を抱き抱え
停止する脳が
指令を受け取り


青柳の腕が
栞の躰から
静かに滑り落ちる


湖の水を浴びた柏崎が
傾く栞の躰を
貰い受けた


呆然自失状態の青柳を
事情聴衆された所で
拉致が明かないと
判断した横瀬


栞の死は
一瞬の気の迷い


単なる偶然が招いた
事故死


恋愛感情のない
柏崎を第一発見者に
仕立てる事で


事件は大事にならず
何処にでも在る
酒を飲み招いた不祥事として


栞の死は
終止符を打ちたかった


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