穢れた愛
青柳を支え
別荘へと戻る横瀬に
声を掛ける柏崎
「借りは返せよ」
腐る程
横瀬に借りが在る
柏崎の言葉
まるで横瀬の弱みを
握ったかのように
恩を売る
田舎から上京した
成り上がり者
王者へと君臨したがる
みすぼらしい乞食
「此処は親父の別荘だ
精々 知恵を絞って
不祥事を揉み消してこい
親父の会社に
雇用されるよう
推薦しといてやる」
一部始終
消音した声で
眺めていた絵里
項垂れる青柳に
手を差し伸べる
絵里を制止する横瀬
冷酷なまでに
絵里を見下ろし
「通報してあるな
青柳の名前は
一切出すな
面倒が増える」
尊い命が失われた
朧月夜の隠蔽
呼び起こされる
封印した記憶
因果な栞の命日
タクシーの中
苦々しい溜息を
零した横瀬は
不屈な舌撃ちを
鳴らしていた

