穢れた愛


点滅する携帯電話


画面に表示される
”明美”の文字


表示された名前に
記憶を辿り
街で出逢った
他高の女子高生の顔が
曖昧に蘇る


いい印象ではない
”明美”
気崩した制服
日焼けした浅黒い肌と
傷んだ髪


吸い切れず
貝殻型の皿に置いた
煙草が燃え尽き
縁を焼いたフィルターが
床へ転げ堕ちる


夕夏はフィルターを
摘み上げ
携帯電話に出た


「もしもし?」


中途半端な夕夏より
堂々と女子高生を謳歌する
明美の方が
正直者に 想えたからだ


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