穢れた愛


男性と向き合い
二人きりで
居た事など
経験のない夕夏


驚く程
終始 青柳の顔を
正視出来るのは


青柳が横を向いたまま
夕夏と視線を
合わそうとしなからだ


会話もないまま
時間だけが
過ぎる


灰皿に溜まる
吸殻だけが
静かに増え続け


幾度となく
溜息混じりの
煙りを吐き出す青柳に


夕夏は声を掛ける


「煙草 頂戴」


青柳の横顔から
視線だけが向けられ


何も言わずに
煙草の箱が
夕夏の前へ
滑り寄越された


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