穢れた愛
煙草を咥え
火を灯し
軽く吹かすだけで
タール数のある
青柳の煙草の匂いが
口の中に充満する
吸い慣れていない
煙草を咥えるたび
ぎこちなさが
身に染み
青柳の視線が
注がれる夕夏は
虚しさに耐え切れず
煙草を消す
「家に誰も
いないのか」
突然 囁かれた
青柳の言葉
夕夏は微かに首を捻り
喫茶店へ
誘われた意味を
理解し
「ママは男と出掛けた
お兄ちゃんは遊びに行ってるし
パパは 殆ど 帰ってこない」
子供染みた弱音を
呟く事に
落胆する夕夏は
どこにでもある
家庭事情に
不満を抱え込む自分が
とてつもなく幼く思えた