穢れた愛
愛情などなく
青柳に躰を預け
抱かれたら
夕夏も大人の女性に
なれるのだろうか
自然と汗ばむ掌を
握り締めている事に
夕夏自身が気づいたのは
”家に帰れない”
初対面の男に
軽々しく告げてしまった
誘い文句を
取り消す言葉が
浮かんでこないからだ
夕夏の告げた
家庭事情など
青柳の耳を掠める事なく
打ち消され
真横を向いたまま
煙草を咥えている姿が
夕夏に屈辱を与え
「死んじゃおうかな」
どうでもいい
投槍な言葉を
呟いていた