穢れた愛


狭い裏路地を
掻い潜り


古びたアパートが
建ち並ぶ
異質な風景に
辿り着く


この場所だけ
時が止まっているような
昭和の匂いを醸し出す


錆びたフェンス添いに
雑草が生い茂り
砕けたアスファルトから
土が顔を出す地面


僅か20分程度の距離


都心から離れた
整地された住宅街で
育った夕夏には
未開拓地がある事すら
実感が湧かず


都心の一角に
こんなにも
荒んだ場所を
隠して込んでいるなど
想像もしていなかった


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