穢れた愛


事情を説明する事なく
部屋へ入ったまま
出てこない青柳


ジュースを注がれた
グラスの前に座る夕夏へ
機嫌よく微笑む絵里


他愛ない挨拶と
簡単な自己紹介


しばらくして
スーツを着た青柳が
キッチンに現れ


「頭痛薬」


状況も聞かずに
薬箱から頭痛薬を取り出し
錠剤と水を青柳に手渡す絵里


静かな大人の恋愛


無駄な言葉など
いらない
築かれた信頼関係


夕夏は見えない
穢れた愛が
潜んでいるとも
知らずに


出掛けてゆく青柳の背中を
絵里と見送っていた


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