穢れた愛
第八章 湖に浮かぶボート
第八章 湖に浮かぶボート




薄らと白い
明け方の空


不精髭がザラつく
顎を摩る
喫煙所


胃が凭れる
紙カップの珈琲


禁煙していた
煙草を咥え
懐かしい煙りを
吐き出す


僅かな小銭の為
長年 吸い続けた煙草を
封印した所で


何が変わる訳じゃない


ラウンジの窓硝子越しに
飛び立つ烏を眺め


拘束されるネクタイを
緩めた


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