無題
『音乃ちゃん…どうして…どうして…』
『あんたは、私のことをなんでも知ってると思ってると思うけど、なぁんにも知らないからね…。なんなら、私に質問してみてよ。私自身のことを。それは、なんでもこたえてあげる。』
私は、お母さんの両手をはらって立ちました。
『…。』
こんどは、お母さんが黙り込みました。
『質問することないってことは、私のことしりつくしてるんだぁ…へぇー…じゃあ、今の私が思ってることいってみてよ。』
お母さんは、顔を上げて私をじっとみてきました。
はやく答えろよ。
そうおもいました。
お母さんは、1度下をむいてまた私をみました。
お母さんの目に涙がうかんでいました。
私のために泣いてるの?
それとも、
自分が情けなくて?
まぁ、どうでもいいけど…。
私は、学校のカバンをてにとり、玄関のドアを開けっ放しで出ていきました。
今回は、泣き声が聞こえません。
よかったです。
近所迷惑にもならないので…。
いくところもないので、近所のデパートの本屋に行くことにしました。
久しぶりの本屋。読みたかった小説を読みました。
人気小説家、天美諒子(あまみりょうこ)先生の修羅場という小説です。
この話は、貧しい家庭にうまれた少女がドン底におちていき、その苦しさをえがいた話しです。
話しが面白くてついついページをめくってしまいます。