無題


説教覚悟で私達は、いつもよりだいぶ早い時間に帰宅した。

カバンから鍵をとりだし、自分であけた。

いつもなら靴をそろえてリビングにいくが今日は、靴をそろえず、リビングにもいかず、自分の部屋にいきました。

リビングからは、お母さんの声が聞こえます。

1人でしゃべっているのでしょうか。

私は、階段をおりてリビングの真後ろの壁にもたれました。

『すいません。そうですかぁ…本当にご迷惑をおかけしました。以後、気をつけます。はい。…はい。すいません。はい、失礼します。』

きっと学校からの電話です。お母さんは、何度も私のために謝ってくれました。

ありがとう…


実際に直接いいたかったです。
でも、それをしたらなんだか負けた気がしてイヤでした。


その時、扉の開く音がしました。

『音乃ちゃん…学校でどうしたの?』

トイレに行こうとしたお母さんにきかれました。

『別に…』

『別に…じゃないわよ。お母さんにちゃんと話してほしいの…』

私の両肩を両手でおさえているお母さんの顔をみる気は、ありません。

『早く答えて…』

『…。』

答える気なんて、さらさらありません。
質問する前に両手をはなしてくださいよ。

『音乃ちゃん…』

『…。』

『音乃!!!!!』


はじめて、私を呼び捨てでよんできた。このオバサン。

ついにしびれをきらしたな。
オバサンが私にキレたの、はじめてみた。

アハハハハハハ。私にやり返しかなんかですか?
そんなの全然、ビビりませんけど。

『なんですか?』

『さっき教頭先生から電話がきたわ。どうしてそんなことしたのよ?!』

『…。』

『ちゃんと答えなさい!無視しないで…目をそらさないで…』

私は、肩があの人のせいで痛いので、下をむきました。
もちろん、あの人の質問なんかに答えませんよ。

『音乃ちゃん…かわっちゃった…お母さんのしってる音乃ちゃんじゃないわ…』
あなたのしってる私じゃない??

はぁ?


『なにそれ……。これが私なの…。あんた、親なのに子供のことわかんないの??うわぁーマジないわぁ…。』

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