無題

『そろそろ電気けすよ?』

『あっ…はい…。』

杏子さんは、部屋の電気をけして、ベッドの隣に置いてある、小さなランプの火をともしました。

緊張してなかなかねつけず、目のまぶたがとても軽い。羊が一匹、羊が二匹……羊が214匹…


あぁ全然ねつけない。


イライラした私は、一度床を叩きました。

ドンっ


『音乃ちゃん、寝れないの?』

しまった…。杏子さんをおこしてしまった。
寝付けなくてイライラして体が熱かったのに、急に冷たくなりました。

『すいません。おこしてしまって…。』

『全然いいのよ!昨日寝すぎたから。』

杏子さんは、今嘘をついています。
私は、嘘をつく人が大嫌いです。
でも、杏子さんの嘘は優しい。
寝る前にみた杏子さんの目の下は、真っ黒だった。
嘘をつくのがじつに下手ですね。

それから数分がたった時、杏子さんからこんな質問があった。

どうして幸也が好きなの?


一緒にいるとすごく楽しいし楽なんです。何もきをつかわなくて…。しかも外見だってOKだし。


『一緒にいるとすごく楽しいんですよ。私を笑顔にさしてくれます。彼は、私の中のムードメーカーです。杏子さんも笑顔になりませんか?』


質問をしてみた。でも返事は、ぐぅーといういびきしかかいていなかった。
さっきの質問は、寝言だったようです。

杏子さんは、すごく気になっていたのだと思います。
寝言でだすということは、日頃からそれを考えてる。私達を心配してくれてる。杏子さんがやっぱり好きだ。
改めてそうおもった。
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