無題


プルルルルプルルルル


家の電話が鳴った。

と、同時にお母さんが起きだす。


『音乃ちゃん…音乃ちゃん…』

もう一度フライパンで頭を殴る。
今度は、気絶しなかった。
『音乃ちゃん…イタイよ…』


電話の音がうるさい…。
でも、出ることができない…。
イライラがつのるだけ。


私は、ついに包丁を振りかざした。


『音乃ちゃ…んは、お母さんの自慢の音乃ちゃ…んだよ…。』


『えっ……??お、おかっ…お母さん?』


その言葉で感動した時は、もうお母さんは、真っ赤に染まっていた。


傷痕は、胸一ヶ所、足二ヶ所、お腹三ヶ所、腕一ヶ所の計七ヶ所もありました。
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