トビラの向こう側
あいつに葵を好きだと宣言されてから本当は…焦ってたんだ。
アンブレラが定休日の前の日…
帰り際の葵の様子が何か気になって、アンブレラに引き返した。
戻って見ると川嶋智也と揉めてるみたいだった。
俺が戻って来たことに二人は気づいてない。
近づいて行くと。
『名前なんか呼んだって無駄だよ―…
…中にいる伯父さんには聞こえない―…だから大人しくしろよ』
『イヤ!!…たか…とう…さん』
あいつから必死に逃げようとしている葵が俺の名前を呼んでいた。
カァッと体が熱くなって、感情が爆発しそうになるのをなんとか抑えた。
『お取り込み中、悪いんだけど、そいつ俺の彼女だから放してやってくれない』
川嶋智也は葵の手を放さず挑戦的な目で俺を見た。