冷たい彼
結城さんは黙って背中を撫でてくれた。
何で、結城さんみたいな優しい人を好きにならなかったんだろう?
「沙彩、とりあえず移動しよう。ここ冷えるから」
「…は、い…」
「家、帰るか?」
私は黙って首を振った。
「…溜まり場、来るか?」
この質問にも首を振った。
「…俺ん家でいいなら、来るか?」
「…いえ、迷惑をおかけますし…大丈夫です」
お金もないのに、私、どうするつもりなんだろう…?
「迷惑じゃねぇって、乗れよ。風邪引く」
そう言ってバイクまで連れていってくれた。
結城さんのバイクは紫と黒、大きくて重たそうだ。
「本当に…ゴメンなさい…」
「そんぐれぇ大丈夫。とりあえず掴まってろよ?」
「はい…」
私は結城さんのバイクに乗って結城さんの家に向かうことになった。
結城さんの背中は暖かくて、泣きそうになった。