アンバートリップ
(?)
川の手前で、ぽおっと淡い光が灯っている。
夕焼けの色とは違う、人工的で、けれども優しい色合いのオレンジ光だ。
「綺麗な色」
吸い寄せられるように光を辿ると、木造りのちょっとした階段にぶつかった。それは土手から川へほぼ垂直に降りている。
その階段の、今にも朽ち果てそうな錆びついた細い手すりに掴まって、下を覗きこむ。
一人がやっと通れる狭さのベニヤ板で出来た階段は、木目の間からちょろちょろ雑草が顔を出していて、時間が経てば土手と一体化しそうだ。
そこから見下ろすと、わりと広い川岸が広がっていることに気が付いた。
川の流れに揉まれ、小さく丸まった小石の散らばる、砂利岸のようだ。
岸の更に左側に、何やら建物が見えた。