ラブランディング
いつも通りの気さくで明るい笑顔を他の女の子達に向けて、またこっちを向く。

ユウは、さっきの池上さんの話通り、すごく話しやすくて社交的。いつもニコニコしてるし、人当たりが良い。営業にはとっておきの性格。

だけど、自惚れかもしれないけど、私と居る時はすこしだけ違くて、なんか素でいてくれるんだなーって思う。今の、私に向けるすごく優しい顔とか。特別なんだ、っておもわせてくれる。

「んじゃ今日お祝いってことで、肉食わね?肉?」
「家で焼き肉?」
「いーねー。早めに帰るから、俺がスーパー行ってくるわ」
「じゃあ私、酒屋さんに寄ってくね」
「オッケ。じゃな」

触れるわけでもなく、ただ他愛ない話をしているだけなのに、なんだかどこか気恥ずかしい。あまりに自然体仕草が、どんな愛情表現よりも絆を語っているようで、思わず目を逸らしたくなってしまうほど‥って、自分で言ってて恥ずかしいけど。

ユウはまた全員に笑顔を向け、食堂を去っていった。きっとお昼は外で済ませたんだ。ただ、私に報告をするだけにこの場に足を向けてくれた。それがやっぱり嬉しい。

それを見て、杏はまた頬を膨らませ、顎を手に乗せる。
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