小さな主人と二人の従者
写真
 放課後に談話室へ行くと、いつも以上に賑やかな声を耳にした。ジュリアは窓際に座っているエヴァンに話しかけた。

「何をしているの?」
「みんなでコインを使って遊んでいるんだ。ジュリアはどこへ行っていたのだい?」
「水を飲みに行っていたの」

 本当はジュリアの腕についている印について調べるために図書館へ行っていた。あれからこの印に関連がありそうな本を何冊も読んだが、どこにも書いていなかった。
 エヴァンはジュリアの嘘を信じてゲームに誘った。やることにしたジュリアはミラベルに遊び方を教えてもらうことにした。

「三枚のコインを使うの。表と裏にそれぞれシールが貼ってあるから、計六枚になるわね。コインを投げる前にどのシールになるか、二枚決め手から目を閉じてコインを投げて、どちらも当たった勝者には魔法カードをもらえるのよ」

 この魔法カードは『ドリームカード』と呼ばれるカード。この効力はそれぞれ違っていて、着せ替え人形のように何か衣装を着ることができたり、声を変えることができたりする。

「面白そうね。誰の案なの?」
「エヴァンよ。さっきまでやっていて、今は休憩中なのよ」
「意外と揃わないね。みんなに負けて散々だったんだ」
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