小さな主人と二人の従者
 試着室へ入れられて、カーテンを閉められた。渡された服を着てから外へ出ると、ケネスが棚に置いてある商品から顔を上げてこっちへ来た。

「よく似合っている。着心地は?」
「とてもいいよ。ギャレットは商品を見ているのかな?」

 試着した後に左右を見るが、ギャレットの姿がなかった。

「見ている。まるで娘を溺愛する父親のようだな」
「ギャレット、センスがいいね。どの服も可憐な感じの服ばかり」

 こういうものが彼の趣味なのかと一人で考えていた。

「あいつはここの服のほとんどを買うつもりなのか?とにかく呼んで・・・・・・ギャレット!」
「大声出して何?」

 ケネスの大声に服をたたんでいる店員もジュリアと同じように驚いている。
 ギャレットは二着の服を持ちながら、店内を歩き回っている。

「そろそろ終わりにしておけ。ここで一日を潰す気か?」
「そんなことはしないよ、ジュリア嬢は栗色の髪にダークブラウンの瞳。似合う色や可愛いデザインの服がたくさんあるからさ」
「ジュリア様は人形じゃないんだ。とにかく買ってさっさと出るぞ」
「わかったよ。またしばらくしてから足を運ぶことにするか・・・・・・」
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