小さな主人と二人の従者
 ジュリアの服は全てギャレットが買ってくれた。
 次に行った場所は食材売り場で肉や野菜、魚、卵、オリーブオイル等を買った。ここではさっきと違って短時間で買い物を済ますことができた。

「服屋と随分時間の差が出ているね」

 一人で買い物をするときはここまで時間がかからない。

「そうだな。食材は三十分程度で終わった」
「どこか行きたい店はある?」
「行きたいところね・・・・・・」

 ギャレットはなぜか目を細めて不気味に笑っているので、良からぬことを考えているギャレットを置いてケネスと早足で別の店へ向かおうとすると、後ろからギャレットが追いかける。

「待ってよ、二人して置いて行かないで」
「どうせこっちの気分が悪くなるようなことでも考えていたのだろう?」
「そんなことないよ」
「どうだか」

 次に向かった店は洋菓子を売っている店だった。

「ケネスもお菓子が好きなの?」
「はい、たまに食べるな」
「ギャレットは?」
「俺も好き。でも、特に気に入っているのはジュリア嬢かな」

 色目を使ってくるので、別の方向に顔を向けると、若い女性店員がうっとりとしていたから若干引いた。

「食べさせてあげるからね、ジュリア嬢」

 ジュリアは即座に遠慮して、ショーケースの中にあるケーキに注目した。まるで輝く宝石のようだった。

「どれも綺麗」
「ジュリア嬢はどれがいい?」
「うーん、迷って選べない」
「じゃあ、俺が適当に選んでいい?好きそうなものを買うから」
「うん。待っているね」

 レジから離れてケネスと別の商品を見て楽しむことにした。
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