小さな主人と二人の従者
 ジュリアは嫌々食べさせられていて、すぐに席を立った。
 またさっきのように何も見えなくなり、次に目を開けると、ギャレットとケネスが心配そうに顔を覗いていた。

「どうした?」
「気分でも悪い?」

 首を振って否定してから辺りを見ると、自分の家だとすぐにわかった。

「前にもどこかでこうしていたみたいなの」
「記憶、思い出したの?」
「ほんの少し。でも相手の声も顔もわからなかった」

 沈んだ声で答えると、ギャレットはジュリアの頭をそっと撫でた。

「ちょっとずつでいい」
「そうだな、無理に思い出そうとしても、自分の思うようにはならないからな」

 自分が記憶喪失になるとは思わなかった。今のでこれからの学校生活をちゃんと送れるか心配になった。
 綺麗に忘れてしまっている。一人での単独行動は危うい。

「あの、登校日になったら学校の案内を頼んでもいい?」
「喜んで」
「転校生みたいだな」
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