小さな主人と二人の従者

　ギャレットとケネスはジュリアに笑顔を向けた。ジュリアも彼らに笑顔を向けた。
　ジュリアはケーキと紅茶を味わいながら、幸せな気分に浸っていた。
　生チョコトルテはココアスポンジを重ねて、チョコクリームをサンドしている。優しい食感のスポンジケーキも甘さが強すぎないチョコクリームもジュリアの好みにピッタリだった。

「メリル魔法学校にはどんな生徒達がいるの？」
「俺達のような吸血鬼やジュリア嬢のような魔族、夢族、華族、空族、操族など、生徒がたくさんいるよ」
「彼らとも会話をしていく内にわかることも増える」

　ジュリア達が通う学校の生徒数は他の学校の生徒数より上回っている。
　紅茶を飲もうとしたとき、カップの中は空だった。すぐにギャレットがおかわりを注いでくれた。ケーキの箱を持ち上げると、まだ重かった。

「夜にもケーキを食べようね」
「お前一人で食っていろよ」
「だって一人で食べていたってつまらない。

　ケネスがすかさずギャレットに言葉のボールを投げると、ギャレットは頬を膨らませている。

「考えて買い物をしろよ」