小さな主人と二人の従者
 ジュリアの目が潤んでくる。ギャレットは今の状況を楽しんでいる。
 命令に従うどころか、ギャレットは上機嫌になって、自分のペースに巻き込もうとしている。

「どきなさい!」
「ジュリア嬢、今は二人きりだよ」
「こんなときに・・・・・・」

 さっきまで一緒にいたケネスは数分前に家から必要なものを取りに出かけてしまった。
 すると、ジュリアを覆っていた影がなくなった。部屋を出ようとギャレットに背を向けたときに顎を手で持ち上げられて頬と頬を重ね合わせた。

「頬も柔らかくて気持ちいい」
「ちょっと・・・・・・」
「ずっとこうしていたいな」

 雪のような白い肌が少し恥らい、頬を薄赤く染めていた。ギャレットの手がジュリアの頬と腰に回されていて、身動きできなかった。
 耳元で話されることが弱いとわかっていて、ギャレットは話すので、ジュリアの声が小さくなっていく。

「駄目・・・・・・」
「どうして?」
「さっきの血のせいだから」

 ギャレットはジュリアの言っている意味がわからなかった。

「どういうこと?」
「だから指の血を舐めたからおかしくなったんじゃないの?」
「違うよ。君が魅力ある子だから」
「魅力?」
「うん。だからこうして一緒にいるんだよ。嫌いな奴に近づく奴なんていないでしょ?」
< 41 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop