小さな主人と二人の従者
悪天候
 黒い雲が空を覆っていて雨が降りそうだったので、レストランを出てからそのまままっすぐ家に帰ってきた。

「ただいま」
「おかえり、ジュリア嬢。無事で良かった」

 ギャレットは本当に心配性だ。

「ジュリア様、おかえり。濡れなかったか?」
「どこも濡れていないよ。本当はもう少しセーラ市にいる予定だったのに・・・・・・」

 家の窓にはすでに無数の雨粒がついていた。変える時間がずれていたら、雨に濡れながら、ぬかるんだ土を踏んでいかなくてはならなかった。風が強くなってガタガタと窓が音を立てている。

「これはしばらく止みそうにないな」
「お茶を淹れようか?」
「ありがとう、ケネス。でも、さっき飲んだから」
「その袋は何?」

 ギャレットはすでに袋を持っていた。

「アロマキャンドルとアロマ石鹸。石鹸がかなり小さくなっていたでしょ?これを使おうかと思って買ったの。香りはどう?」

 ギャレットはアロマキャンドルに鼻を近づけて香りを確かめた。

「悪くないね」
「今日は二人で何をしていたの?」

 ケネスはジュリアの本を借りて読書をしていて、ギャレットは家にいても退屈だからという理由で散歩をしていた。
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