ツラの皮
ピーチクパーチク喧しい口をキスで塞ぐ。
口紅が栄えそうな唇はひどく甘くて幾らでも欲しくなるが、大人しくなったのを頃合に一先ず解放してやる。
「俺のことがそんなに嫌いかよ?」
潤んだ瞳が、俺に覗き込まれて逃げ場を探すみたいに右往左往と泳ぐ。
「そ………そんなこと、ない、ケド……」
「じゃ、問題ないな。」
キライだと言われても丸め込むつもりだった俺はその返事に満足して、首筋に唇を落とした。
びくっと首を竦めて鈴が躍起になって俺を押し返す。
「ヤだったら!」
「何でだよ。一回やったくせに今更。」
「う……そりゃそうだけど。今夜はヤなの!だ、だって…他のスタッフさんも居るのに。明日も会うのに。」
あー……確かに、コイツは顔に出そうだな。
フシダラなことをしましたっ、てな?
だが。
「却下。そんなことほざいてたらいつ出来んだ。」