ツラの皮
襖の先の小ぢんまりとした和室には命一杯に布団が敷かれ枕が並べて置かれている。
タチバナ相手に何だが、無性に腹立たしい。
こういう部屋には親ではなく男と泊まるもんだろーが。
「ちょっとぉ、多大な誤解を招きそうな言い方止めてよねっ。」
冗談じゃない、といわんばかりに反抗しておきながら、部屋を覗き込んだ鈴も言葉を詰まらせた。
「……ええと。やっぱり、あの……」
俺をチラリと盗み見てソロリと後退りする鈴を強引に壁に縫いとめる。
「往生際が悪い。ここまで来ておいて逃げんな。」
「なっ!…アンタが無理矢理ここまで引き摺ってきたんでしょー!」
ああ、もー、ウルサイ。