ツラの皮
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別荘での撮影は明日の午前中一杯で、実質最終夜となるその夜は宿場の大広間で労いを込めたプチ宴会が催された。
監督を上座に、役者陣、スタッフと分かれ、俺はほぼ中間の席に対し鈴は末席。
席が離れたことは口惜しいが、ま、アイツが役者陣や男性スタッフの傍じゃなかっただけ良しとしよう。
などと一先ず安心したのも束の間、鈴はタチバナにお酌係に任命され役者スタッフ問わずアチコチと歩き回る羽目になった。
なまじ突き甲斐があるものだから、一々足止めされて返杯されて盛り上がっていて、腹立たしいことこの上ない。
仲たがいの上にコレで、機嫌は制御のしようもなく急降下。
「今夜は無礼講ですよぅ。清水さんも一杯どう……ぞ。」
下心満載でキャピキャピお酌をしにきた女子スタッフが、不機嫌オーラ全開の俺に怯えたが、知るか。
無礼講なんだろ、無礼講。
今の俺に仕事モードを取り繕う気力なんかねーんだよっ。
「………どうも。」
そうは言っても一応大人なので礼とともにグラスを満たしてもらったが、殺伐とした空気はいかんともしがたく。
「はいはーい。触らぬ神に祟りなし~。」
その場を退いて良いモノか、特攻隊宜しく会話を続けるべきか途方にくれる女子スタッフを見かねて麻生がその場の空気を茶化してくれた。