ツラの皮
プチンと俺の堪忍袋の緒が切れた。
「…抜け作っ!」
ひぇっ、と鈴が飛び跳ねる。
「だ、だって、そんな…部長が私のコト好きなんて知らなかったんだもんっ。だから、そんなコトされるなんて思ってもみなかったしっ」
「だから抜けてるっつーんだろっ!!!もう少し危機感持てよなっ!!」
「そんなコト言ったって、相手は単なる上司だしっ!いっそ私のコト嫌ってると思ってたし!!」
「だからオマエは―――」
「たーかーとー。」
麻生に止められ、俺は渋い顔で罵声を呑みこんだ。
未だ臨戦態勢の鈴に麻生が顔を向ける。
「あのさ。鈴ちゃんだって雪乃ちゃんと高遠がキスしたら嫌でしょ?例えそれが雪乃ちゃんが勝手にした事でもね。」
「…え。…あ…ぅ」
「高遠のこれもそれと同じだから。」
仕方ないと思おうね、と言われて鈴はシュンと項垂れ小さく「…ゴメン」と謝った。