ツラの皮
「誰が自己中だ。」
ジロリと横目で睨まれて、私は慌てて素直過ぎる口を手で押さえる。
高遠はフンと鼻を鳴らして、再び前に顔を戻した。
「大体自己中はオマエだろーが。オマエの事ではしゃぐ義理なんざねぇっての。」
ふへー。
そんなこと言ってホントは寡黙にグラス傾けてる俺ってイケテルとか思ってんじゃないの?
ま、そこだけ切り取って見れば確かにイケテルけどさ。
でもこのノリの中で格好付けてるって事がそもそもアウトじゃん。
浮~き~捲~く~り~。
周囲の笑声がどっと上がって、高遠は音が聞こえるんじゃないかというくらいに歯軋りしいきなり私の首を絞めに掛かった。
ええっ!
ひょっとして今の全部口に出してた!?
てか、麻生さん笑いすぎ。
カウンターに突っ伏してゲラゲラ笑っていたかと思ったら噎せて、ゲホゲホ咳き込みながらもまだ笑っている。