ツラの皮



ぬるい反応を見せる友人に熱弁を奮っていると、横合いからフンと失笑が割って入った。




「あんなの冗談に決まってるだろ。流石の俺だって寝涎垂らしたオンナが本気でモーション掛けてくるなんて思っちゃいねぇっての。」




私は真っ赤になって反射的に口元を拭った。


って………!




「し、失礼ね!涎なんて垂らしてないわよ!あの後シャワー浴びたけど跡なんてどこにもなかったんだからねっ!」



「だろうな。俺のスーツの肩に何だろうってデッカイ染みが出来てたけど。」



「……………っ!」




この根性悪!






口で適わないことを悟った私は、うっとりと二人に見蕩れている友人の腕を掴んで。





「覚えときなさい!」




何をだよ。




誰に言われるまでもなくそのバカげた捨て台詞に内心で突っ込みを入れて、ズカズカと会場へ向かった。










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