ツラの皮
「久し振りね。ね、今度お爺様とお仕事するんですって?アッチにいるから挨拶していきなさいよ。」
「オマエうっせぇ。今がプライベートだっての分かんねーかよ。」
しなだれかかる美女を高遠は冷ややかに一蹴する。
彼女の『おじい様』は確か有名な映画監督だったはず。
穂積クンも言ってたけど高遠って意外と仕事は出来るらしい。
というか、妥協しないって。
って、それ俺様な性格の所為じゃなくて?
多少の疑問は残りつつも、一応仕事に対する姿勢は真摯らしく、だからコレはツレの私に対する気遣いなのだろう。
「挨拶ぐらい行ってきたら?」
一瞬高遠は嫌そうに顔を顰めたものの私の真意を汲み取ったらしく、溜息を吐いて立ち上がった。
「挨拶してすぐ戻るから、オマエは興味があるもん見つけてもフラ~っとどこかへ行くなよ。分かったか。」
コドモじゃないっての!
シッシッと手を振る私を不審そうに見詰めながら高遠は美女のエスコートで立ち去った。