蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
長いテーブルを向かう合うように囲んで、10人ずつ向かい合うように座って飲み会がスタートする。
私は課長の向かいの席から数えて、3つ横に座っていたけど、なるべく課長の方は見ないようにしていた。
なんとなく課長の課長の視線がこちらに向いている気がしたから。
それに、目が合ったりしたらすぐにドキドキして息苦しくなるし、女の子に囲まれてる課長を見たら、つまらないやきもちを焼いてしまうのが分かっていたから。
それでも、いくら視界からシャットアウトしても、耳は課長の声ばかりを拾ってしまって。
切なさに耐えきれなくなって手にとったアルコールが思いのほかおいしかった事が、せめてもの救いだった。
「なぁ、吉野」
「ん?」
隣の席で飲んでいる松浦に話しかけられて振り向くと、松浦はぼんやりとした視線の先で、手に持ったビールをくるくる回していた。
いつもヘラヘラしているだけに、こんな物静かな松浦は珍しい。