たとえ愛なんてなかったとしても
12月という、俺たち歌手にとっては歌番組の出演から何かと忙しい時期。

そう、この年末の忙しい時期に、俺はとある問題のせいで、マスコミの対応に追われていた。


今まで水面下で動きはあったものの、とうとう揉めていた相手側が裁判に持ち込んだことによって、今回の問題が世間の知ることとなり。

様々な憶測が飛び交い、このままではイメージ悪化の恐れがあると、ついに記者会見を開くことを余儀なくされた。


裁判にすることでもないのに、わざわざ裁判沙汰にされて、本気で不愉快だが。

それと同じくらいに、好奇の目でレコーダーやカメラを向けてくる記者たちが腹立たしい。


何を話そうが、くだらないドラマ仕立てにしてあることないこと書くなら、こんな記者会見やっても無駄なんじゃないか。


放棄したい気持ちはあったものの、そんなことは許されるはずもなく、昨日考えてきた台本通りに会見するしかないだろう。
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