たとえ愛なんてなかったとしても
「......エリック。顔色悪いけど、大丈夫?」



舞台袖で俊輔のソロステージを見ていたら、キャシーに手を握られた。


俺は一応メンバーのソロも見てるけど、こいつはいつも楽屋にさっさと引き上げるのに、今日はどうしたのか。


ああ、そうか。
俊輔のステージだからか。



「少し寝不足なだけだ。
いちいち触るなよ、ライブ中だ」



別に手を握るくらいステージの上で普通にするけど、熱い手に触れられたくなかったので振り払った。


他の女みたいに大げさに心配してくるわけでもない、触れてほしくないことには触れてこないが、何もかも分かっているような目が、腹立つ。



「ほら、俊輔のステージ見にきたんだろ?
俺の心配より、あいつの心配したら。
最近仲良いみたいだけど、」



そこまで言って、慌てて口を閉じた。
今、何を言おうとした?


キャシーが誰と仲良くなっても、俺には関係ないはずだ。

お互いにただの遊び相手で、それだけで。
他に相手だっているのも知ってる。


それなのに、今までとは違って、わざわざ俊輔のソロ見にきたこいつが、正直面白くないと思ってしまった。

これじゃまるで......。
















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