たとえ愛なんてなかったとしても
「あれ、どう思う?」



漢字勉強中だったエリックをつつくと、エリックは一瞬ミヒと俊輔に視線をやった後に、すぐに視線を戻した。



「いいんじゃないか」
 


一言だけ言った後、興味なさげに勉強を続けるエリック。



「仲が悪いより、良い方がいいんじゃない」



そっけないエリックの応答に気にしてるのは俺だけなのかとモヤモヤしてたら、俺とエリックの間にキャシーが座った。  



「くだらないことやってんなよ」


「くだらないことやってるのは私じゃなくて、あっちよ。

ねえ、自分は関係ないみたいな顔してるけど、エリックも関係者の1人だって分かってる?」



そして、いきなりの謎会話。
いったい何が起こってるのか分からないが、いや本当は雰囲気を見てればなんとなく分かるような気がするけど。

なんにしても秘密が多すぎるんだよ、うちのグループは。



「飲み物買いに行ってくる」



たしかあと五分くらいはリハーサルまで時間があったはずだ。

その五分も耐えきれず、居心地の悪い空間を適当に言い訳して抜け出す。













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