たとえ愛なんてなかったとしても
「やっぱりー。
僕も俊輔くんのアドレス知らないよ」



携帯を確認し終わった英俊に言われて、俺も携帯を確認したら。

確かに英俊の名前がない。


一応他のメンバーも確認したら、キャシーと英俊以外は登録されていた。


仕事の関係で連絡するために、交換した気がするな。



「俺も入ってない。
キャシーだけじゃなく、英俊まで......。
メンバー六人中二人のアドレス知らないって......」


「というかさー、キャシーちゃんのアドレス知りたいのか知りたくないのか、どっちなの?

わざわざ話題に出すってことは知りたいってこと?
仕事の時だっていつだって聞けるじゃん。

なんかウジウジしてて、イライラするなあ」



確かにそうだけど!
もう少しオブラートに包もうぜ?

ほんっとに!さっきから包み隠さないやつだな。




「英俊、お前に言ってやりたいことはたくさんあるけど。

とりあえず、お前のアドレス教えて」



俺たち、お互いのことを知る努力が必要だと思うんだ。


今まで関わろうとしなかっただけで、俺はメンバーのことが嫌いなわけじゃないし。


英俊の言う通り、嘆いているだけでは何も変わらない。


今日一日だけで、ほんの少しだけど英俊やメンバーのことを知ることができた。

これは大きな進歩じゃないか?


どれも知りたくないことばかりだったけど!

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