たとえ愛なんてなかったとしても
「おい、撮影までにミヒを連れ戻してこいよ」
 


引き止めることもしないで、仕事の心配だけをする俺の言葉に俊輔は無言で頷いて、出ていった。


こんな時あいつだったら、もっと上手くやれるんだろうか。

俺と同じリーダーで、年も同じあいつのことが頭に浮かぶ。


俺にはやっぱり無理だ。あいつみたいにメンバーを優しく包み込んでやることも、悩みを聞いてやることもできない。

それどころか、拒絶して傷つけてばかりだ。
俺は最低なリーダーだろうな、リーダーどころか人としても最低だ。 


いや、いいんだ。これでいい。
馴れ合ったって、歌が上手くなるわけでも、ダンスが上手くなるわけでもない。

人間なんて、仲良くなったからって簡単に裏切る。家族でさえ、そうなんだから。

後で裏切られるくらいなら、最初から愛情なんて持たない方がマシだ。


そうだ、俺は間違っていない。
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