たとえ愛なんてなかったとしても
モニターからは、トニーのリハの様子が流れる中、仕方ないので炎彬さんに本来の二番煎じの意味を教える。


教えおわった後に、初めて聴く英語の曲だなと思いながら、じっくりとモニターに耳を傾けていると、隣のエリックさんの手が震えているのに気がついた。

体調でも悪いのか?
それとも俺たちのくだらないやりとりで、怒りのあまり......?



「エリックさん?どうしたんですか?」



なんだか心配になって声をかけてみたけれど、俺の問いかけに答えることなく、エリックさんは無言で楽屋を出ていってしまった。

いきなりどうしたんだ?
エリックさんは突然出ていくし、英俊は即効でふらふらと遊びに行ってしまったし。

本気で俺たち大丈夫なのか。

残ったのは、今日も元気にマイルールを貫いている炎彬さんと、相変わらず雰囲気の悪い女子たちだ。


ああ、もう悩みごとが多すぎてストレスでおかしくなりそうだ。

いっそ考えることを放棄したいけど、そういうわけにもいかない。
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