たとえ愛なんてなかったとしても
そんなことを話している間にも、エレベーターが一階につく。


助かった。
なんとか俺の面子を守る戦いが無事におわったな。


駐車場で俊輔と別れた後に、コンビニで速やかにシャープペンの芯を買い、寄り道しないで宿舎に帰る。

Tシャツが裏表逆だとバレないうちに。


無事にシャープペンの芯を手に入れたので、両親に簡単に手紙を書く。


日本では上手くやっているから、心配しないで。
すぐに、トップの座をとるから。
というような内容を。


それから、誕生日プレゼントのバッグとは別に、来月分の仕送りを準備する。

毎月決まった額を餃子屋を開くという両親のために、送金している。


世界でも有数の経済大国に成長し、金持ちも多数いるが、その一方貧富の差が激しく、俺の家もそう裕福というわけではない。


俺は絶対に成功し、金持ちになり、両親に恩返しをするんだ。


仕事は金持ちになるための、成功するための手段であり、目的ではない。


日本では一つのところに忠誠を誓い、なかなか転職しずらいみたいだが、馬鹿馬鹿しいとしか思えないな。


特に忠誠を誓う義理もないし、もし他に条件が良いところがあればそちらに移りたい。


今の事務所に対しても、俺はそう考えている。

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