たとえ愛なんてなかったとしても
それだけ言うと、エリックさんは玄関から出ていこうとしたけど、何か思い出したように戻ってきて、俊輔さんの肩を叩いた。
  


「あと、キャシーのこと残念だったな。
元気出せよ。

俺も見込みあると思ったんだけどな、ダメだったみたいだな」



本人はなぐさめようとしてるみたいだけど、余計に俊輔さんの顔色悪くなってる気がする。



「エリックさん、早く行った方がいいんじゃないですか?
ここは私に任せて」


「そうだな、いってくる」



見ていられずに、遠回しに追い出すと、こちらを気にしながらも出ていった。


ふう......。エリックさんが出ていって、静かになると、急に気が抜けた気がする。



「それ、エリックさん本気みたいだな。
あの人って、自分の部屋に勝手に入られるとか嫌いそうなのに」


「え?......あ、そうだよね」



無意識のうちにもらった鍵をいじっていると、俊輔さんに私の手元を見ながら指摘される。


俊輔さんの言うように、部屋に勝手に上がられるのが好きそうには見えない。

それに、合鍵渡すってことは、他の女を家に連れ込めないってことだよね。
部屋以外の場所だったら、分からないけど。


お前だけだと言われたわけじゃないし、他の女の人とどうなってるのかも全く分からないし、これからもわざわざ言ってきそうにもない。


でも、自分のパーソナルスペースである場所の鍵を渡したということは、エリックさんなりの覚悟、誠意なのかな。

そう思っていいの?
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