たとえ愛なんてなかったとしても
現実味がないままに、二人の会話をボウッと聞いていたら、誰かからエリックさんに電話がかかってきたかと思えば、電話を終えると急に立ち上がった。



「事務所に呼び出されたから、出かけてくる」


「今から?」


「ああ、一、二時間で戻ってくると思う。
お前たちは二人で話すこともあるだろうから、まだ部屋にいてもいい。

部屋出るなら、鍵閉めておいて」



確かに二人で話したいとは言ったけど、部屋に二人きりにして平気なの、とそんな疑問を口にする暇もなく、棚から取り出した予備の鍵を投げられたので受けとる。



「明日の仕事の時に返したらいいですか?」


「いや、持っておいて。
いらなかったら、捨てていい」



捨てるのはさすがに防犯上問題があるし、そもそも宿舎出るときに鍵を返さなきゃいけないんじゃ?

なんて、野暮なことは言わずに、もらっておく。もちろん、喜んで頂きますとも。
< 543 / 559 >

この作品をシェア

pagetop