たとえ愛なんてなかったとしても
ひたすらごめんと謝りながら、私の髪をタオルで拭く俊輔の手をつかんだ。



「このくらい平気よ。
ちょうど乾燥してて、顔にうるおいがほしかったところだったから良かった」


「水じゃ潤わないよね?
大丈夫なら良かったけど、優しいと後が怖いな......」



どういう意味よ。
でもそうね、優しいだけで終わる私じゃない。


ご期待に応えようと、座席に備え付けてある雑誌を取り出し、機内販売のページを開く。



「ねえ、俊輔?
メイクが崩れたから、直したい。

これとこれと、このページの化粧品よろしく」



機内販売の高級ブランドのファンデとポイントメイク、つまりメイク用品一式を買うように促した。
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